宙にあけた穴 -3ページ目

変化

最近妻の様子が変わってきた気がします。しばらく前は、とにかく不安な様子で僕のことを伺っていることが多かったのですが、先日「離婚もありうると考えている」と伝えて以降、妙にサバサバしているのです。邪推かもしれませんが、一人になってもやっていけるような準備をしているかのようです。

彼女なりにいろんなことを整理したのかもしれません。僕がそんなことを考えていたことが、彼女にとっては大きな裏切りであり、彼女の中で何かが変わってしまったのではないかと思います。

もちろん具体的に何かが動くまでは時間がかかるだろうし、動かないかもしれません。でも、ゆっくりと、何かが変わっている気がします。

サッカー

彼女はサッカーが好きです。ずっとサッカー部のマネージャをしていたらしく、仕事を始めてからもフットサルのサークルに入っていたようです。

「あなたのことは全部好き・・・あ、サッカーやってたら完璧だったんだけどね」「んー、団体競技好きじゃないんだよね、ほら、わがままだし。」「そうかもね♪」

30歳初心者でも入れるフットサルのサークル、誰か紹介してくれませんか?

おシャレ

もともと僕は服だとか、身に着けるものとかを買ったりするのが好きでした。ただ最近は、ほとんどの時間をスーツで過ごしていることもあり、そういった気持ちも忘れかけていました。

「・・・な感じの服とかカッコいいと思うな」「今度一緒に買い物行こうよ、選んだげる」・・・そんな彼女と接していると、忘れていた感情を思い出します。「へえ、今年の春はキレイな色の服流行るんだね、やば、僕持ってるの黒系ばっかだ。」「でしょ?買いに行こって。」

つかの間の楽しみを堪能しよう、そう自然に思える日は幸せです。

表面

妻とは結婚4年目になります。これまでずっと共働きを続けて来ました。表面上は「お互いに自立していたいから」などと言っていましたが、実は妻が、仕事を辞めて家庭に入りたがっているのには気づいていました。でも僕はそれを受け入れることができませんでした。「良く考えようよ。仕事を辞めることは一方通行の意思決定だからね。」

妻が仕事を辞め、子供が出来ること。それは即ち妻との未来の完全な約束であり、それができない僕は、妻を愛してはいなかったのでしょうか。愛していると思ってした結婚が、そうではなかったなら。・・・今の状態は当然の結果なのかもしれません。

打診

妻に初めて「僕らには別々の人生をやりなおすという選択肢があると考えている」と伝えました。もちろん他に好きな人ができたとかそんな事は話せないので、限りなく一般論に近いかたちでですが。

それでも彼女に与えたインパクトは小さくなかったらしく、僕がそう考えているこに少なからずショックを受けたようでした。たぶん逆の立場なら、僕だってショックを受けたと思います、数ヶ月前には離婚の可能性すら考えたこともありませんでしたから。

今日話したことが、今後どんな意味を持ってくるのかはわかりませんが、何かのTurning Pointになったと感じています。次に迎えるのは、Point of No Return・・・かもしれません。

「今日夢にあなたが出てきたの。」彼女がうれしそうに言いました。「ケガをした私を治してくれるお医者さんだったよ。」・・・その話を聞いてなんだかうれしくなっている自分がいました。「・・・それはね、僕が君にとって、色んなものを癒してあげる存在だってことじゃないかな。」「そうかもね♪」

・・・僕は医者なんかじゃない。医者のニセ名刺で人を騙す詐欺師です。

V.D.

ますます彼女に気持ちが傾いています。最近仕事が終わるのが遅い日々が続いています。それでも彼女はわざわざ遅い時間に僕に会いに来てくれました。手作りのチョコレートを渡すために。軽くお茶したあと、遅かったので彼女を最寄り駅まで送って行きました。「・・・バレンタインなのに、私が優しくしてもらっちゃったね。」

終電を逃し、タクシーで家に帰りました。「お疲れ様。」平穏な日常。・・・日に日に何か、追い詰められている自分がいます。

週末

週末彼女と一緒に過ごす約束をしました。あたかも仕事のような顔をして、出かける準備をしています。「・・・早めに帰るようにするね。夜は焼肉とか行こうか!」罪滅ぼしのように妻に声を掛けています。

今この瞬間は、目先の数日のことに意識をうばわれ、楽しい気分で一杯です。こんなことが続くはずもない・・・。少し考えれば分かるはずなのですが。

タイプ

「かけがえの無い誰かをパートナーに生きていくこと」・・・それが結婚だと思っています。それは、「約束」っていうか、「契約」っていうか、そういった色合いのモノだと思っていました。なのに僕は、その契約を簡単に破棄することばかり考えています。

「契約不履行の代償」・・・これがどんな種類のものなのか、どんな大きさのものなのか。僕には未だ見当もつかないでいます。

モト彼

彼女が浮かない顔をしていました。はじめはその訳を話したがらなかった彼女ですが、実はモト彼に復縁を迫られ悩んでいるとのことでした。決して僕と別れて、という思いはないとのことですが、嫌いになって別れた彼でないので、彼の気持ちを思うと辛いとのことでした。詳しい間柄はわからないものの、高校の時からくっついたり離れたり、特別な何かがあるらしく、彼の落ち込みようは大変なものがあるようです。

「・・・僕とのことがなければ戻ってた?」「・・・ん、半々かな。どうしてそんなこと聞くのよ。」

僕さえいなければ、今頃二人は幸せなのかもしれない。そんなことを考えています。